ケガの痛み≠慢性痛の理由

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こんにちは。

だんだん整骨院の小田です。

今回は、ケガの痛みと、慢性痛の痛みの違いについてです。

治療家と呼ばれている人でも混同している場合があります。

痛覚は自分の身体を守るため

身体には痛覚と呼ばれる身体を守るためのセンサーがついています。

例えばあなたが釘を踏みかけたときに痛みを感じなかったら、釘を踏み抜いて大ケガをしますよね。

痛覚が脳に痛みを伝え、脳から避けるように筋肉に指令がいくことで大怪我を避けます。

あるいは脳に痛みが行くより先に脊髄で反応し、避けるという逃避反射もあります。

つまり「痛み」というのは身体を守るために有益なセンサーなのです。

このセンサーは痛み刺激を見逃さないよう常に小さく働いています。

例えますと、野球の野手がどこにボールが飛んできてもいいように身体を緊張させてゆらゆらしているようなイメージです。

普段はゆらゆらですが、ボールが飛んでくる(釘が刺さるなど痛みが来る!)と、ダダダダッと野手は走ります。ボールをキャッチ(痛みをキャッチ!)してすぐさま塁に投げます(足を引っ込めます)。

バッターランナーアウト!(身体を大ケガから)守ることができました!

このとき野手の息は切れていて、筋肉の緊張は増加し、鼓動は早まっているでしょう(多少のケガ)。

しかししばらくすると、息は整い、鼓動も落ち着いてくるでしょう(ケガの治癒)。

少々例えが乱暴ですが、これがケガが治っていく過程です。

ここで慢性腰痛の方に質問です。

あなたの腰痛はこれと同じような経過を辿っていますか?

おそらく答えはNOでしょう。

腰を痛めたのなら時間と共に徐々に痛みは無くなっているはずです。

でも慢性痛の方は腰自体に問題がなくなった後も、腰が痛いと「感じて」います。

逆に腰の痛みを感じてない時、感じない日もあります。

おケガのズキズキであれば治るまではずっと痛いはずです。

つまり、‘‘痛いと感じる‘‘のと‘‘痛(傷)めている‘‘というのは別の話

慢性化する人の状態は、例えますと、ツーアウト満塁でサヨナラ負けのピンチで守備をしている状態です。

野手はゆらゆらしていて、ボールが飛んできたら走るのは同じですが、このピンチの場面では、いつもより筋肉は緊張し、鼓動は高まっているはずです。

ボールは飛んできてなくても、何度も脳内で飛んできたボールをキャッチし、ホームに投げ返すシミュレーションを繰り返すでしょう。

実はこのシミュレーションでも痛みセンサーが働き、脳に痛みが伝えられるのです。

そして脳は痛みを感じ、恐怖や不快さを感じ、筋肉をこわばらせるのです。

ボールが飛んできてなくても(釘が刺さらなくても)脳が痛みを感じてしまうのです。

これが本当に野球ならば、チームが勝つためにはこのような心持ちで守備をするのは悪いことではないかもしれません。

でもこれは人間の脳で起こることです。

さらに厄介なのはここからです。

常にピンチの場面でばかり守らされている野手はいつしか、ピンチの場面でなくても、ピンチに感じるようになります。

これでは野手は身体も心も持ちません。

(野球なら替えがききますが)

実は腰を痛めた人の4人に1人がこのような状態です。

ピンチでもないのに(ケガもしていないのに)、野手が常に、緊張して、落ち着きのない(痛みセンサーが過敏に反応している)状態です。

これがケガの痛みと慢性痛の違いです。

実際にボールが飛んできたか、

飛んできてないのにピンチに感じてアタフタしているかの違い、ということです。

本来身体を守るはずの痛みセンサーが、敏感に反応してしまい身体を痛めつけてるということです。

こうなると、本来痛みを感じないシチュエーションでも痛みを感じてしまいます。

長時間座ったり、ものをもったり、普段だったら痛みを感じないような刺激でも痛みを感じる状態になってしまいます。

おなじ猫背の座り仕事の人でも痛みを感じる人と感じない人が居ますよね。

こうなってしまっては厄介です。

こうなってしまったら、野手のグローブを変えようが、ユニフォームを変えようが、解決にはなりません。

ビンタして気合いを入れ直そうなんてしたら、余計に緊張しちゃうかも知れません。

ではどうすればいいのか

まず、野手に安心してもらうこと、

そして成功体験を積み重ねてもらうことです。

野手に、今はピンチでもなんでもないよって声を掛けてあげたらいいんです。

ツーアウトで、ランナーもいないから落ち着いて。

以前のようにリラックスして守ってくれたらいいよって。

そして、そのリラックスした状態で、本当に打球が来たら華麗に捌いてアウトにするという、成功体験を積み重ねていくのです。

これが、慢性痛を改善するための唯一の方法です。

具体的にやることは、先程話した「ケガの痛み≠慢性痛」を理解していただく事と、運動療法(エクササイズ)です。

今感じている痛みは実際にけがをしているわけではないことを理解していただき、

普段痛みを感じているシチュエーションで痛みが出ないという成功体験をしてもらうことです。

ここで活躍するのがDNMです。

押して痛い場所があるとします。

そこは傷めている所ではなく、神経の流れや血流が悪い場所です。

その周辺の皮膚を圧痛点が減る方向へ伸ばします。

いつも脊髄に送っていた痛みの信号をオフにしてあげます。

その痛みのない快適状態をキープし、脳が痛みに関する認識を変えてくれるのを待ちます。

「あれ、ホントはケガなんてしてないんじゃね?

じゃあ、痛いって感じなくてもいいか」って思ってくれるまで待ちます。

その後に運動療法です。

これは筋肉を付けるためではなく、痛みを出さずに本当はこんなに動けるよって脳に思い出してもらうためです。

そういう成功体験を積み重ねることが、慢性痛と戦う唯一の方法なのです。

DNMと運動療法は相性がいいです

まず痛みの認識を変えてもらって、動いても痛みが出ないという成功体験を積み重ねてもらう。

こじらせ慢性痛にはこれしかありません。

どれだけ筋肉をほぐそうが、関節を矯正しようが、改善しない人は、DNMがおすすめの理由はそれです。

そもそも、どこも痛めてなかったのですから。

慢性痛に悩む方は現在受けている治療が本当に自分のためになっているのか?

セラピストなら自分の介入は本当に患者さんのためになっているのか?をご一考頂ければと思います。